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トップページ > エンターテイメント > エンターテイメント インタビュー > そこにはいつも「昭和」があった 普通の暮らしの輝きを見抜いた審美眼(第1回)

そこにはいつも「昭和」があった
普通の暮らしの輝きを見抜いた審美眼(第1回)

昭和のくらし博物館館長 小泉和子さん

あたたかい家庭の営み、
手触りを家そのものを残すことで伝えていく

世代を越えて「懐かしい」と感じさせる昭和の暮らし

東京都大田区の住宅街の一角に、その博物館はありました。一見すれば、ごく普通の住宅。いえ、どこからどう見てもそうなのですが、実はこの住宅、昭和の時代の“庶民の暮らし”を伝える、ちょっと珍しい博物館です。

ここは「昭和のくらし博物館」。テレビや雑誌、本などで、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

博物館となっているこの住宅は、館長の小泉和子さん(74歳)の一家が、1950(昭和25)年から1996(平成8)年までの45年間、実際に暮らし、展示された家財のほとんどは、小泉さん一家(父、母、姉妹4人)が使っていたものです。

『STAGE』読者がここを訪れれば、子ども時代の記憶が鮮やかによみがえってくるはずです。茶の間にはちゃぶ台、そばには火鉢が置かれ、左手には濡れ縁が。2階には4畳半の二間があり、その一室には、当時の子どものおもちゃが並べられています。「わあ、懐かしい!」「そうそう、これこれ」と思わず声をあげずにはおれない、あの頃の世界がそのまま残っているのです。

ところが驚いたことに、懐かしいと感じるのは、かつての“昭和の子どもたち”ばかりではないようです。小泉さんは話します。

「幼稚園くらいの子どもがここに来て、『なつかしいなあ』って言うの。それから、昭和が好きっていう小学生もいるの。今の子どもたちにとって昭和というと、ちょうど『三丁目の夕日』の頃(昭和30年代)ということになってるみたい。だから、あの頃のものには懐かしさを感じさせる何かがあるのね」

新しいものも取り入れながら、古いものは使い続ける

小泉さんは、思い出の詰まった家をただ残したくて博物館にしたわけではありません。博物館のホームページに記されているように、「いつの時代も、最も残りにくいものは、なんでもない、一番身近な庶民のくらし」だと痛感していたからです。戦後の庶民の暮らしの資料になるとの思いから、残すことを決めたのでした。

それは、小泉さんが家具史の研究や、文化財の復元・登録などに携わってこられたからこそできたことなのですが、小泉さんが歩んできた道は次回お話することにして、ここではもう少し博物館のことをめぐってみましょう。

この博物館には、たらいやおひつ、木製の氷冷蔵庫といった当時の生活道具が、使われてきた歴史を感じさせながら展示されています。こうした道具は、新しい便利なものができれば捨てられ、なくなってしまうものですが、よくぞ残していたと感銘を受けるほどです。

「母は明治生まれで、昔の生活様式が身についてますから、洗濯機も使いつつ、たらいも使ってましたね。井戸でするといい作業は井戸でしたり、鰹節を掻きながら味の素も使ったり。急に生活を変えないで、使えるものは使っていました」と、小泉さん。

「それで、新しいものをものを持ち込むのは、だいたい私(笑)。たとえば外で食べておいしかったラーメンやお菓子なんかを作って食べさせてね。私が作るものは、父も母も大歓迎。だから『和子、今日はあれ作って』って母が言うと作ってましたね」

小泉さん一家の、そんなあたたかい家庭の雰囲気は、展示された道具や住宅そのものからも感じ取れることでしょう。それがこの小さな博物館の大きな魅力でもあります。

昭和という時代が今再び見直され、ブームとなっています。懐かしさを感じたくて、この博物館に行くのもいいでしょう。ですが、小泉さんと博物館の物語を知ると、懐かしさを超えて、自分たちが暮らしたあの時代がどんな時代だったのか、その時代を経て自分がどんな生き方をしてきたのかを、あらためて考えさせられる気がします。

次回は、博物館の館長だけにとどまらない、小泉さんの活動にクローズアップします。

昭和の暮らし博物館
http://www.digitalium.co.jp/showa/


お知らせ

STAGEセミナー
「思い出の昭和の暮らしにタイムスリップ」

昭和の暮らし博物館を訪ね、小泉さんを囲んでお話を伺います。STAGEのみんなで、あの頃にタイムスリップ!!

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