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自分がしたいことは、自分にできること。
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美術学校を出た小泉さんは、家具の仕事に就きます。そのうち、日本の家具の歴史を調べるように。次第に、家具の研究へと興味が向かい、東京大学の建築史研究室に入って博士号を取得します。これは、設計技師だった父親の影響があったのかもしれません。
家具史の研究は、小泉さんが初めて先鞭をつけた分野。それまで、家具を専門に研究する大学や研究室はありませんでした。やがて、西洋の家具の修復をイタリアで学んだり、大学で教えるようになっていきます。重要文化財建造物の家具の復元や、文化庁の文化財審議委員を務めるようにもなりました。
そして、さまざまな文化財の指定や登録にかかわった経験から、父が設計したあの家を、博物館として保存しようという気持ちが強くなり、実現させたのです。
「だけど、そんな順調ではないんですよ。家具の歴史研究なんて誰もやってなかったから、はじめは大学の働き口がどこにもなかったの。文化庁の委員だって、女性がひとり入ったほうがいいからという理由だったし、住宅をそのまま博物館にするというのも前例がない中、私が一人でしていること」
ですが、「これは面白い」と感じ、やりたいと思ったことは、必ずそうなってきたと振り返ります。「できないのは、できないのじゃなくて思い方が少ないのよね、きっと。それにイメージもない。自分がやりたいと思うことは、自分ができることだし、自分に向いていることでしょ? こういうことをやってみたいとイメージすれば、その範囲で自然とそうなっていくような気がします」
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そんな小泉さんが「面白くて仕方がなかった」という、あるプロジェクトのことを話してくれました。
島根県は石見銀山で、重要文化財に指定された「熊谷家住宅」の家財調査をしたときのこと。調査は、経済的理由から地元の主婦7人で進めることになったのですが、作業に慣れるにしたがって、家財や民俗について、主婦たちは自分で勉強するのが楽しくなっていったそうです。
残されていた汚れきった道具類も、彼女たちの手できれいに生まれ変わり、あるモノを工夫しながら活かすことで展示物を仕上げていきました。
「ボロボロの布団を解き、綿は学校の校庭に広げて干し、使えるところだけパッチワークして座布団150枚を作りました。それから、重箱やお膳箱が山と残っていた。彼女たちは重箱に入れて展示する料理サンプルを、縫いぐるみで作っちゃった! ご飯に鯛のお吸い物に草餅に、どれも本物そっくりよ。みんな工夫するのが面白くて、考えるのがうれしくて、夜も寝られないんだって(笑)」
女性ならではの能力を発揮する場が与えられ、その力を引き出してくれる小泉さんという人がいたからこそできたこと、といえるでしょう。ちなみに、彼女たちは小泉さんによって「家の女たち」と命名され、見学者への説明などを行っています。
4人姉妹の長女である小泉さんは、人の面倒を見るのが苦にならない、というよりむしろ、それが身に染みついている人。今、小泉さんは家具とインテリアの歴史に関する学会を作ることに邁進しています。それは、後に続く学生たちが研究しやすいようにとの、道しるべ作りでもあります。頼もしき「お姉さん」として、小泉さんは常に価値あるものを見据え、行動しているのです。
「だから、目利き、なのよね」
と、最後にまた、小泉さんは笑いました。
昭和の暮らし博物館
http://www.digitalium.co.jp/showa/
お知らせSTAGEセミナー「思い出の昭和の暮らしにタイムスリップ」 昭和の暮らし博物館を訪ね、小泉さんを囲んでお話を伺います。STAGEのみんなで、あの頃にタイムスリップ!! |
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