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あなたの人生を「生き抜く力」は何ですか?(第1回)

私は“水”に還りたい

自分らしさを探してたどり着いた水という被写体。向き合う写真作家の心とは

水に魅せられ、水を撮り続けた写真作家がいます。その人の名は、鈴木瑩子さん(73歳)。25年もの間、水にまつわる作品を発表し続けてきました。
鈴木さんがなぜ水に魅せられたのか。そこには、自分らしい生き方を探し続ける鈴木さんの心が、まざまざと投影されていました。そして水は、鈴木さんの心にいつも見事に呼応してくれたのです。
そんな鈴木瑩子さんの“水物語”を、2回にわたってご紹介しましょう。

迷える心に答えをくれた…水という被写体との運命的な出会い

まずは一枚の写真をご覧ください。葉の上の水滴がポトリ…と落ちる瞬間。「涙」と題された写真です。

シャッターを押した瞬間、撮影者の心が泣いていたのでした。

水に魅せられ、水を撮り続けた人がいます。その人の名は、写真作家の鈴木瑩子さん(73歳)。25年もの間、さまざまな水の作品を発表してきました。

鈴木さんがなぜ水に魅せられたのか。

そこには、自分らしい生き方を探し求めてもがき続ける鈴木さんの心が、まざまざと投影されていました。今回と次回で、そんな鈴木瑩子さんの“水物語”をたっぷりとご紹介します。

鈴木さんがたどった“自分らしさを探す旅”にドキリとし、考えさせられる人も多いのでは…そう感じてなりません。

反発こそ自己主張!

鈴木さんが写真を撮り始めたのは48歳のとき。水に出会う以前は、枯葉や枯れ木を夢中で撮っていた時期もありました。

「その頃は、春になって木々に新芽が出始めた頃に残っている枯葉を撮りたくて。虫に食われて穴だらけ、そんな枯葉が風に吹かれて飛んでいって、別の木にひょいと止まった姿が格好よくてね。人生、枯れるも死ぬも当たり前だけれど、どんなことがあってもこの枯葉のように格好よく死にたいと思ったの」

ですが、撮るうちに、ある思いが鈴木さんをとらえます。

こう生きたいと被写体から感じるのではなく、自分の心のうちを表現できるような被写体を求めたい、と。

そのとき鈴木さんの心に響いてきたのが、ポタン、ポタンと蛇口から漏れる水の音でした。

水を撮ってみよう…鈴木さんは山に入り、水音のするほうへと足を向けます。そして望遠レンズの焦点を眼下の滝に合わせたとき、鈴木さんは見ました。流れる水が石にぶつかって跳ね返っている姿を。その反発する水の美しさといったら! 鈴木さんは感動に胸を打ち震わせます。

「反発こそ自己主張なんだ!」。そんな思いに貫かれたのは初めてでした。

水のように柔軟な人生を生きたい

学校を出て仕事をして、結婚して、子どもをもうけて。ごく当たり前に歩んできた人生でしたが、鈴木さんの心には何かしらの疑問が浮かび、その答えが見つからず、消えないまま残っていました。

幼い頃から両親に、「お前はよく反発する」と言われたそうです。違う意見をもっていることをなぜ表明してはいけないのか、反発はいけないことだと言うのなら個性がないのと同じことではないか、と感じていた鈴木さん。そんな中でも、自分らしさにこだわろうとも思いました。

そして水と出会ったことで、反発は自己主張だという思いもかけなかった価値観を、水が導き出してくれたのです。

水はこんなことも教えてくれました。

湖の水を撮影に来たときのこと。もやもやした気持ちを抱える鈴木さんの目に、穏やかに寄せては返す水はのびのびと生きているように感じられました。しかし夕方になり、風が吹いた瞬間、急に水面が光り輝いて波立ち、それまでとは打って変わって波が激しく打ち寄せてきたのです。鈴木さんは話します。

「私は夢中でシャッターを押しました。湖の中にあって、水はどこにも逃げ道などないのに、昼間の姿から一転激しく変化した。なんて自由なんだろう…!水から、私は心の自由さを学びました。それは精神的な勉強でした。湖は、言ってみれば器。それは家庭や社会の中と変わりがない。器の中にも自由があったんです。そうだ、私の人生もこの水のように輝かせよう…疑問が晴れました。水が答えを出してくれました」

このとき水に感じた思いは、処女作『水の詩』にまとめられました。鈴木さんの作品にはどれも題名がつけられていますが、写真ができ上がってから考えたのではなく、それを撮った瞬間に浮かんだ、心の言葉なのだと言います。

現実に生きていくのは自分です。だからこそ、自分らしさをプラスした人生にしたい。それを探しているうちに、鈴木さんは水にたどり着き、水からさまざまなことを学び、大きな力を得ました。やがて2冊、3冊と作品を発表することになるのですが、そのたびに水が教えてくれる世界は変わりました。

この先の物語は次回に譲ることにしましょう。

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