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トップページ > エンターテイメント > エンターテイメント インタビュー > 田園に建つこの家で、自分らしく生きていく (第4回)

田園に建つこの家で、自分らしく生きていく (第4回)

家とともに、自然の一部となって風景に溶け込むこと。
それが、鶴田さんの田舎暮らしです


この世界を分かち合いたい

田園に建つこの家で、自分らしく生きていく

車が行き交う道からも離れ、聞こえるのは鳥の声に雨や風の音ばかり…。
千葉・鴨川の丘の上に建つ、鶴田静さん(エッセイスト)とエドワード・レビンソンさん(写真家。以下、エドさん)ご夫妻の住まいでは、今日も自然と共存した静かな営みが続けられていることでしょう。


夜遅くまで明るく、喧騒に包まれた都会に身を置く人ほど、こうした日常にいきなり身を置いてしまうと、そのギャップにとまどってしまうはずです。第2回で触れたように、人恋しく、寂しくなることももちろんあります。


けれど、鶴田さんはこう言います。
「ここは丘の上で、車道から上がってくる道を舗装していないせいもあって、前に住んでいた家ほど人の訪れも盛んではありません。でも、だからこそ自分だけの世界に没頭することができます。そしてその世界とは、皆さんとともに分かち合いたい世界。それを文章や料理、いろいろなことで表現している。私がそれほど孤独感を感じずにすんでいるのは、創作活動を通じて皆さんと世界を分かち合っているからかもしれません」

田園に建つこの家で、自分らしく生きていく


こうした田舎暮らしで、孤独から解き放ってくれる存在が、もう一つあります。そう、パソコンです。鶴田さんもエドさんも自分のホームページをもち、エッセイやお知らせなどを更新しています。パソコンがあれば外の風景と簡単につながり、自分の世界を外に向けて発信し、“分かち合う”ことができます。
「顔を見たこともない人から、“本を読みました”などとお便りをいただきます。そうすると、あ、ここに私のことを想ってくださる人がいる、つながっているんだわ、と感じるの」
鶴田さんにとって、日本中、そして世界中にちらばる見えない読み手との交流が、田舎暮らしを支える大きな力ともなっています。



自分なりにできれば、それでいいの

田園に建つこの家で、自分らしく生きていく

ご夫妻の暮らしに触れてつくづく感じたのは、自然に囲まれて生きていくとは、自然とのつき合いを我慢強く毎日繰り返していくのだということです。


あっという間に伸びてしまう草を刈り、水をやり、虫を取り、今あるもので日々の献立を考え、調理し、雨風で家が傷めば修理して…。家で過ごす時間は、都会のそれと比べて、はるかに濃密で、家でなす仕事量も膨大です。鶴田さん自身、この生活は2人とも自宅に仕事場があり、自分で時間を管理できる環境にあるからできるのだと話します。 「だからこそ、退職されて時間がある方は、本当の意味での田舎暮らしができると思うんです。ただし、これまでのような家とのつき合い方でなく、もっともっと家と積極的に関わらないと」


それには、家というものに対する価値観の転換が必要です。たとえば、朝早く出勤して、夜遅くに帰宅していたような男性にとって、家とは食べて寝るだけの場所だったでしょうけれど、田舎ではその感覚ではやっていけません。朝起きてから夜寝るまで、家の状態に目を配り、気がついたところに手をかける。


それはつまり、「家とともに生きていく」ということです。


「お世話をした結果、自然から美しさやおいしさをいただくのですから、自然と人間が相互関係を築かなくては。私は人間だから、あなたは動物だから、あなたは植物だからではなく、互いに交歓し合いながら生きていけたらいいのではないかしら」



田園に建つこの家で、自分らしく生きていく


家とともに、自然の中の一部となって、風景に溶け込んで生きる--それこそが田舎暮らしの醍醐味でしょう。
そこで忘れてはいけないのが、自然は時に危険をもたらすことだと、鶴田さん。ハチに刺されたり、マムシに噛まれたり、家に蛇やネズミが入り込んだり。そんなことが、田舎暮らしではごく当たり前に起こり得ます。また、がけ崩れや台風、塩害などの自然災害にもさらされかねません。危険と隣り合わせゆえ、知恵を働かせて回避したり、やりすごさなければならないことがあることを忘れないでほしいと強調します。
「どんなところにも危険はあるの。でも、こればかりは体験しないと実感できるものではないですね。私たちだって、最初は草むらをサンダルで歩いていたくらい(笑)」


さあ、鶴田さんご夫妻の暮らしをうかがって、あなたの田舎暮らしへの憧れはますます膨らんだでしょうか。それとも見直しを迫られたでしょうか。
どんなことでもそうですが、田舎暮らしにも、こうすればうまくいくというマニュアルはありません。これは、鶴田さんたちなりのやり方、暮らし方。一つの目標にはなっても、「鶴田さんたちのように生きる」ことはできません。
みんなそれぞれ、これまで歩んできた人生も価値観も違うのですから。


鶴田さんは、鴨川での20年に及ぶ暮らしを振り返って、こうアドバイスします。


「あの人のようにするということでなく、自分なりにできればそれでいいと思います。不思議なことに、何かをしたい、しようと思って行動に移せば、お金に関係なくできてしまうものよ」


◎鶴田静さんのホームページ
http://www.t-shizuka.com/
◎エドワード・レビンソンさんのホームページ
http://www.edophoto.com/jp/index.html

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