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スポーツはすべての人間に与えられた権利です(第2回)

元マラソンオリンピック代表は、
みんながランナーの「東京マラソン」の仕掛け人に…宇佐美彰朗さん

走ることが好きな市民ランナーと生きる幸せ。
スポーツの原点に気づき、走る楽しさに目覚めたのです。

7年かけて実現した「東京マラソン」

昨年2月の「東京マラソン」を覚えていますか。普段走ることに興味のない人までもがTVに釘付けになった…あのマラソン大会。じつは、その仕掛け人が、宇佐美彰朗さんです。

銀座を走るランナー
photo by Tokyo Marathon 2007

今年は2月17日に開催予定ですが、3万人の募集に16万人を超える応募があったとか。その運営には、宇佐美さんたちが立ち上げたNPO法人「日本スポーツボランティア・アソシエーション(NSVA)」に登録しているボランティアの人たちがあたります。

東京マラソンへの道のりは、2000年1月に遡ります。毎年恒例の「東京シティハーフマラソン」が運営難になり、市民ランナーの大会を自分たちの手で行おうと、宇佐美さんは手を挙げます。ところが道路交通法などの制限があり、実現不可能に。それならば機が熟すまで待とう。今、我々にできることは何か。宇佐美さんたちは思いを巡らせます。そして始めたのが、スポーツボランティア。スポーツの裏方を支える人も、スポーツの一員であり、ともにスポーツを楽しもうという考えにいたった、新しい動きの始まりです。

NSVAの最初の活動は、視覚障がい者の支援でした。

視覚障がい者が長距離を走るには伴走者が必要です。しかし伴走者の数は少ない…。そこで伴走者の技術を確認し、高めるために全国へ出前出張を始めます。そのほか、ラン&ウォーク教室なども実施し、市民ランナーの裾野を広げていきました。そうした地道でひたむきな活動が、やっと今年実って、あの東京マラソンが実現したのです。

スポーツはスポーツ店に売っていない!

世界最高峰のオリンピックに3大会連続出場という輝かしい経歴をもつ宇佐美さんですが、その眼差しは意外なところにありました。走ることが大好きな市民ランナー、障がいをもつランナーたちへ、熱く注がれています。そして今、「マラソン指導を通して市民と生きる」と言い切ります。なぜなら、走る楽しさを本当に感じているのは記録を狙うエリートランナーではなく、一般の市民だからです。

ハンディキャッパーに対する国の対応にも問題を提起します。健常者のスポーツは文部科学省の管轄なのに、なぜ障がい者のスポーツは厚生労働省の管轄になるのか。「障がいをもつ人も、同じひとりの人間なのに、なぜ分ける必要があるのか」と、宇佐美さんは嘆きます。

今の宇佐美さんを突き動かすのは、「スポーツは、すべての人間に与えられた権利」という揺らぎない信念。それはオリンピック憲章にもうたわれている、世界共通の考え方なのです。

宇佐美さんは、さらに熱く語ります。
「スポーツ店にスポーツグッズはあるけれど、スポーツは売っていない。実際に体を動かし、汗を流した現象、それこそがスポーツです。記録なんて、結果のひとつにすぎないんですよ」

過去の栄光におぼれない、宇佐美さんの原点がここにありました。

記録を重んじる現在の風潮。スポーツの本質が理解されていないことを宇佐美さん自身が気づいたのは、ほんの15年ほど前のこと。自分自身の競技生活も、東海大学での学生の指導にもひと段落つき、改めて「走る」ことの意味を考え始めてからと言います。

宇佐美さん、47〜48歳。ちょうど走る仲間と出会い、楽しく走る方法を見つけ始めたときでした。自分の体の内から湧き上がるリズムに合わせて走ることが、こんなにも心地よく、楽しいものであることに目覚めたとき、スポーツの本質を知る入り口にたどり着いたのです。

現在、宇佐美さんはジョギングを楽しむ一方、週に何回かは体力を維持するために、精一杯の走りもします。なぜなら、人間は衰えるもの。体力を維持するには、週に2回程度息がはずむくらいの運動刺激が必要だからです。健康維持のために、持久力アップのために、どんな走りがいいのか、宇佐美さんの模索は続きます。

「今は人生の3分咲き。つぼみみたいな状態です。まだ咲ききっていないですよ」と、目を輝かせて話す宇佐美さん。

走ることが大好きな人、走ることを通じて人とつながりたい人…、宇佐美さんと一緒に走って、それぞれの花を咲かせてみませんか。

スポーツボランティアに興味のあるかたは、「NPO法人日本スポーツボランティア・アソシエーション(NSVA)」のホームページ(http://www.nsva.or.jp)をご覧ください。


お知らせ「宇佐美さんと新春ウォーク」

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