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人生後半からの自己実現。まずは自分が楽しんで。
料理が結ぶ人の輪、地域の和(第1回)

スペースEnn 料理教室主宰 吉原紀子さん

STAGE で始まっている「食」コンテンツ「おとこのひとり暮らしレシピ 10分勝負!」を、もうご覧になりましたか?男性生徒相手にチャキチャキと、簡単でしかもおいしい料理を教えているのが、吉原紀子さん(63歳)。主宰する料理教室には120名もの生徒が通い、野菜中心の献立は"からだにやさしい"と大好評です。

120人もの生徒が通う吉原さんの料理教室。野菜や旬の食材を使った献立が人気です。

シンプルな料理を伝えたい

東京・多摩地区に暮らす吉原さんの日々は、料理と、それを楽しみに集まる人の和で彩られています。自宅の一部を料理教室として開放。20代から80代まで、さまざまな人たちが月1回学びにやって来ます。
いえ、遊びに来るといった方が正しいでしょうか。何しろこの教室は、料理を教わっている間もみんなが和気あいあい。教え、教わるというより、楽しく料理を作って大勢でおいしく食べる、まるでサークルのような雰囲気なのです。

料理教室の献立は、いつも野菜や旬の食材が中心。たとえば4月は、たけのこと豚ひき肉の混ぜご飯に、厚揚げのがんもどき風。5月はかつおのたたきに、信田巻きと野菜の煮合わせといった具合。料理教室を始めて28年になる吉原さんですが、はじめからこんなふうに野菜中心の料理だったわけではないと言います。

「若いときは変わったお料理を作るのが嬉しくて、油をたっぷり使った中華料理や、懐石料理のようなのもやってたのよ。でも、50代後半ごろからかしら、野菜中心に変わってきましたね。体にいいものを伝えたいと思うようにもなった。長いことやっていると、いろいろなものをそぎ落としてシンプルになっていくものでしょう?料理もそうなの」

今でもずっと、使命感に"燃え燃え"

教えるのが楽しくて仕方がないという吉原さん。教室はいつも和気あいあいとした雰囲気。

吉原さんが料理教室を始めたのは、子育てが一段落して、自分の時間が少し持てるようになったときのこと。
友人たちはテニスを楽しんだり、パートに出るようになっていましたが、同居していた義母が一人で留守を任されるのを不安がったため、吉原さんは外出もままならなかったそうです。そんなとき、近所の家で中華料理の教室が開かれることになり、月1回通ううちに、"料理教室なら、家でできる"と考えるようになりました。

義母を説き伏せて週1回、自宅からいちばん近いクッキングスクールに4年間通った吉原さん。
「習うとすぐに友達を呼んで、作って食べるでしょ。義母は家に人が来ることはすごく喜んだの。それを何度もしているうちに、ちゃんとお金をもらって教わる方がいいとなって、料理教室が始まったんです」

いってみれば料理教室は、吉原さんの人生後半からの自己実現。人が聞けば優雅で羨ましくなる仕事ですが、27年間、毎月毎月レシピを考えるのは本当に大変なことだったはず。
実際、胃が痛くなるような思いをしたり、寝ながら考えたこともあるそうですが、「でも不思議ね、一度も料理が嫌だと思ったことはないのよ」と言います。

「教室を始めて1年目に、皆さんに手紙を出したんです。『はじめは不安でしたが、現在では図々しくも使命感に燃え燃えして張り切っています』と。今でもその気持ちがまったく変わってないって、すごいことよね。何しろ楽しくて仕方がないの。そういう気持ちは相手にも伝わるもの。だから、みんなが変わらず来てくれるのだと思う」

楽しく作っておいしく食べる。大勢でいただくご飯の味は、また格別。

そう、料理教室の生徒さんはスタートしたときから来ている友人も含め、やめることなく通い続けている人がほとんど! あらゆる人を分け隔てなく受け入れ、共有する時間はとにかく楽しく過ごす、そんな吉原さんに惹かれる人が多いからでしょう。
教室がない日でも気軽に訪ねて来る人も多く、さながらそこは地域の寄合所のよう。ご近所付き合いが薄くなった現代では珍しく活気に満ちて、料理を通して人と人とがつながっていることを実感するのです。
「私はただ大勢でご飯を食べるのが好きだったの。元にあったのはその気持ちだけ。それと、何より人が好き。それは才能かしらね(笑)」

今では一人暮らしの高齢者を招いて定期的に会食会を開くなど、吉原さんの活動は、より地域と寄り添って続こうとしています。次回はその様子や、これからの抱負を伺いましょう。

「おとこのひとり暮らしレシピ 10分勝負!」は、こちらから >>


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