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トップページ > エンターテイメント > はじめての碁会所 > 第6回「囲碁文化は日本の観光資源」

ネットで世界中の囲碁ファンと対局 はじめての碁会所

碁で人と文化を知る

はるかな昔から人の生活と囲碁が深く関わっている。興味深い知恵と歴史を紹介。
(毎月月末頃更新)

囲碁文化は日本の観光資源

江戸時代後期の「國技觀光」*1は本因坊丈和*2の著。「觀」の俗字が「観」、「觀光」は「易経」*3の「國の光を觀る」が出所です。諸橋「大漢和辞典」に「他國の光華をよくみる。其の國の文物制度をみる。転じて、他國の山水・風俗などを遊覧するにいふ」とあり、丈和の書名は「国技囲碁の光華を観る」という意味か。

2003年度から政府は「官民一体となって訪日促進キャンペーンであるビジット・ジャパン・キャンペーンを実施」(「観光白書」)しています。2003年に521万人であった訪日外国人旅行客を「2010年までに1000万人台にするという目標」を掲げ、小泉前首相は2006年1月20日の施政方針演説で「達成を目指す」と強調。新たに「観光庁」の設置が検討されています。

緑多き日本の風土は、私たちの祖先が守り育ててきたかけがえのない財産です。国内の戦乱荒廃が少なかった日本、安定した社会の続く中で祖先が残した豊かな風土を、私たちは子孫に手渡さなければなりません。

観光資源としても日本の自然は大切。また、文化的な資産も観光資源です。数多くの寺社をはじめ建造物や様々な文物、さらに人から人へ伝えられてきた無形の文化。伝統を尊んだ祖先はたくさんの文化資産を私たちに残してくれました。その一つに囲碁という文化があります。

日本経団連「21世紀のわが国観光のあり方に関する提言」(2000年10月)に、「観光の意義と重要性」の一つとして「国際的な相互理解の促進に果たす役割」が掲げられています。世界中の人々が異なる文化にふれる機会をもち、相互に理解を深めることが人類の平和と発展に欠かせないことは論を待ちません。

本年6月には世界中から多くの人がドイツに集まりました。サッカーのワールドカップはオリンピックを超える最大のスポーツイベントです。昨年は愛知万博の効果で、過去最高745万人の外国人が日本に入国しました(出国者数は1740万人)。

人と人が心を通わせる碁は、交流・相互理解の優れた手段になります。ですから、規模はサッカーや万博に遠く及ばないとはいえ、深い交流の機会を提供する囲碁のイベントは価値ある観光資源というべきです。

囲碁の世界大会が開催されるようになって四半世紀が過ぎました。プロ棋戦の草分けは1988年に始まった富士通杯世界選手権戦で、日本主催の世界戦はトヨタ&デンソー杯世界王座戦と現在二つ。これらプロ棋戦はメディア、とりわけインターネットのコンテンツ(情報内容)として大いに価値あるものですが、人的交流効果は限られています。

その意味で観光資源として大切な囲碁イベントは、プロ世界戦より早く1979年に創設された世界アマチュア選手権戦(日本棋院・日本航空主催、国際囲碁連盟*4主管)です。「文化を運ぶ」を謳って、朝田静夫*5日本航空社長が創ったJAL杯世界アマ戦は、今年5月に27回目の大会が長崎県で開催されました。

佐世保市ハウステンボスに過去最高68か国の選手が集い、民族も言語も超えた手談(碁の別称)の交流。日本代表の平岡聡選手(35歳、出場3回)が2回目の優勝を飾りました。

この11月19日に第17回世界大会が都内で開催される国際アマチュア・ペア碁選手権大会(財団法人ペア囲碁協会主催)も、国際的に注目されている重要なイベントです。毎年、少年少女も含む多数の選手が世界各国から来日します。

徳川家康の保護奨励に始まるプロ制度のもとで発達してきた日本の囲碁文化が重要な観光資源であることを、碁を打たない方々にも広く知っていただきたく、いっそうのご声援、ご協力をお願い申し上げます。囲碁は国技であった日本が、子孫の時代に囲碁文化大国であり続けるためにも。

(2006年3月発表作品に加筆)

*1: 本因坊丈和著。文政9年(1826)刊行。布石講義と自戦譜73局を収めている。
*2: じょうわ 1787-1847 12世本因坊。4世本因坊道策と並んで棋聖と呼ばれた。日本棋院囲碁殿堂資料館は本因坊丈和を第2回顕彰。
*3: 儒教経典・四書五経の一つ、五経の筆頭。
*4: 日本棋院内に事務局があり、イタリア長期在住から帰国した重野由紀二段が事務局長を務めている。
*5: あさだしずお 1911-1996 運輸事務次官から日本航空社長。相談役に退いた後、日本棋院の理事長、総裁。
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