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![]() 手前から、椿、水仙、猫柳、黄梅、福寿草。器の上に早春を代表する花が咲き乱れる
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鎌倉駅エリアで春の和菓子をひと通り堪能した後は、隣の北鎌倉駅へ。小さな駅のホームに降り立つと、鎌倉から一駅離れただけとは思えないほど、静けさに包まれていた。そして向かったのが、鶴岡八幡宮へと通じる鎌倉街道の中間にある「三日月堂花仙(みかづきどうかせん)」だ。
ここは、もともと東京・池袋に戦前から続く「三日月堂」という和菓子店を構えていた老舗。北鎌倉の地にやってきたのは今から10年前のことだ。店名の花仙とは海棠のことで、中国では海棠の花は「花中神仙(かちゅうしんせん)」(花仙)と称し、その美しさを花中随一と讃えてきた。鎌倉の地に移るにあたり、鎌倉の人々に愛されている海棠の花・花仙と名付けたという。
「うちでは、月替わりで5〜7種類の上生菓子を作っています。お客様には、夏は寒天や葛などでさっぱり、冬は煉切などのこってりしたものが好まれますね」
![]() 見せてもらったのは福寿草の和菓子。まずは細長く緑の餡を裏ごしする。「ぼかしが得意」という三代目の義幸さんは、春の花らしく淡い色に仕上げていく
![]() きめ細かなこし餡を丸めた周りに、先ほど裏ごしした緑の餡を一つひとつ箸で拾い付けていく
![]() 黄色いめしべを付けた白い小さな花・福寿草の完成。派手すぎず、地味すぎない、それでいて春を思わせる色合いが見事だ。このひとつを作るのにかけた時間はおよそ2〜3分。多い日で一日800個も作るというから
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と話すのは二代目のご主人、上原幸雄さん。その上原さんに和菓子の甘みについて聞いてみた。
「食べているときは甘く、食べ終わったら残らない、そんな果物のような甘さが最高だと思っています。和菓子ひとつに何杯もお茶を飲まなくちゃ食べられないという甘さは、飽きちゃいますからね」
とも言う。その話に大きくうなずいていると、三代目のバトンを渡しつつあるという息子さんの義幸さんが、またもや和菓子作りの様子を見せてくれるという。さっそく作業場に案内してもらった。
「お茶に対するお菓子は、香りの面でも控えめが大切です。梅やゆずの香り、また桜餅や粽ちまきを包む葉の移り香など、あえかな香りの中に季節を感じてほしい」
と言う。緑の餡に白い小さな花が咲く福寿草を目の前で作ってもらったのだが、一つひとつ丁寧な仕事ぶりには20年の修業で培った自信が満ち溢れていた。
「うちもそうですが、最近では、女性の菓子職人が増えていますよ。和菓子は繊細さが大切だから、技術さえ身に付けば女性の方が向いているのかもしれませんね」
ところで、三代目の仕事に対する評価はいかがなものだろう。こっそりご主人に聞いてみた。
「職人が100人いたら、同じ和菓子でも100通りのものが出来上がります。息のが作るものは淡い色のばかしが上手いですね」
伝統とは、新たな息吹を吸収しつつ、代々受け継がれていくということを実感させてもらった。
「三日月堂花仙」から北鎌倉駅に戻る途中、左手にあるのが浄智寺。臨済宗円覚寺派の寺で、弘安4(1281)年、北条時政の三男宗政の菩提を弔うために、妻と子が建立したという名刹だ。
![]() 淡い黄色の花が細い枝にほころぶミツマタの可憐な花
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春の花が多く咲く境内の中で、ぜひ目にしたかったのがミツマタの花。その名の通り、細い枝先が三つに分かれており、淡い黄色の花を咲かせる。見頃は3月中旬から下旬にかけてなので、その可憐な姿を今はまだ見ることができなかった。来年はもう少し遅くここに訪れて、ミツマタの咲く姿をじっくり愛でたいものだ。
その代わり、目にできたのは梅。2月上旬から咲き始めるので、生まれたての花をじっくり観賞することができた。そのほかにも境内には、桜やシャガ、牡丹が植えられているので、2月から5月まで春を目で楽しむことができる。
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三日月堂花仙 |
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