坐禅で心と体を解きほぐす
第2回 ゆったりと長く吐く呼吸法
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山本 文渓 (やまもと・ぶんけい)
宋雲院住職
東洋大学卒業後、京都南禅寺専門道場にて修業を積む。昭和51年に東京都台東区にある臨済宗宋雲院住職となり現在に至る。 |
坐丹田に意識を集中し息をゆっくりと吐ききる
心と体のバランスを調(ととの)える呼吸の基本となるのが「丹田(たんでん)呼吸」です。これは腹筋と横隔膜を使った深い呼吸で、ベースは腹式呼吸です。ただし、腹式呼吸は息を吐ききるとおなかがへこみ、息を吸ったときにおなかが膨らみますが、丹田呼吸では意識を丹田に集中しているため、おなかはさほどへこみません。
丹田は、おへその約3cm下辺りの下腹部のことで、丹田呼吸はそこに意識を集中させ、ゆっくりと長く息を吐ききるのがポイントです。息を吐ききれば、より多くの呼吸が取り入れられて血流がよくなり、息を長く吐くことで副交換神経が優位に動いてリラックス効果が得られるといわれています。
坐禅は、僧侶の修行の一つなので、一般の私たちが簡単に「何かを得られる」わけではありませんが、姿勢を調え、呼吸を調えれば、心身がリラックスし、心身がリラックスすれば心のあり方も変わります。
ストレスの多い現代社会においては、身一つでできる健康法と言えるでしょう。
丹田意識して、ゆっくり吐ききり、深く吸う
呼吸の呼は「吐く息」、吸は「吸う息」のことをいいます。
呼吸は吐くことが大切で、息をしっかり吐ききれば、吸気は自然に肺に入ってくるので、浅い呼吸よりもたくさんの酸素が取り入れられます。
これにより、体のすみずみにまで酸素が行きわたります。
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体の力を抜き、丹田に意識を集中させて、吸う息の4〜5倍の長さをかけてゆっくりと息を吐ききります。「体の中のモヤモヤを吐き出すように」「丹田にゆっくりと息を吐きかけるように」「上体の重みを下ろすように」などとイメージすると分かりやすいでしょう。
息を吐ききれば意識しなくても吸気が入ってくるので、自然に息を吸い込みます。
丹田とは、おへその約3cm下辺りの下腹部のこと。臍下丹田(せいかたんでん)または気海丹田(きかいたんでん)とも呼ばれています。おへその下の気の集まる場所と考えると分かりやすいでしょう。 |
イラスト/向井勝昭
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禅中は「何も考えない」ようにするといわれますが、脳は考える臓器なので、そう思えば思うほど雑念がわいてくるものです。そんなときは、思いを追いかけず、とにかく深く息を吐くことに集中します。よく、心の中で数を数えるとよいといわれますが、初心者の場合は数を数えることに意識が向かないよう、ただ単に「ひと〜つ」を繰り返します。息を吐くときに心の中で「ひと〜」と長く吐き、吐ききったときに「つ」とつぶやきますが、実際にはこのときは息を吸っています。気にせず「ひと〜」と吐ききるようにしましょう。
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坐禅の流れと作法
坐禅の基本である「調身(ちょうしん)・調息(ちょうそく)・調心(ちょうしん)」とは、「姿勢が調えば呼吸が調い、呼吸が調えば心が調う」という意味です。心のあり方が変われば、自分を取り巻く環境や人間関係、生き方などを見つめ直すことになり、あらゆるものを調えることにつながります。まずは穏やかに坐ることを心掛けましょう
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姿勢を正して坐る
姿勢を正すことは、正しい呼吸を行うためには欠かせません。坐蒲(ざふ)にお尻を乗せるときは、腰が沈み込まないように半分程度を乗せ、下腹を少し前に突き出すようなイメージで坐り、お尻と両膝の三点で体を支えるようにします。 |
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印(いん)を結び、目は半眼(はんがん)に
右手の手のひらを上にして足の上に軽く乗せ、其の上に左手を乗せボールを包むように親指をつけます。口は結び、下あごの歯の付け根付近につけ、目線は約1m先に落として半眼にします。
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呼吸を調える姿
呼吸を調えるのは、簡単なようで実は難しいものです。まずは深呼吸をして、ゆっくりと大きく息を吐き出すとスムーズに丹田呼吸に入れます。その後は丹田に意識を集中して、ゆっくりと鼻から息を吐き、鼻から息を吸い込みましょう。 |
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仏教には「行住坐臥(ぎょうじゅうざが)」という言葉があります。「行」は歩いている状態、「住」は立ち止まっている状態、「坐」は坐っている状態、「臥」は横たわっている状態のことをいいます。坐って行うのが坐禅なら、歩く禅は歩行禅(経行)、立っていれば立禅、横になっていれば臥禅になります。ですから、行住坐臥の禅であれば、仕事や家庭の合間、眠る前にもできるわけです。
呼吸は普段何気なく行っていますが、心が落ち着かないときや怒っているときは呼吸が乱れるものです。心を落ち着けようと深呼吸を行った経験がある人もいるでしょう。1日10分でもかまわないので、丹田呼吸を毎日続けることで、徐々に心のセルフコントロールができるようになります。重要な会議の前や大切な人と会う前、あるいはイライラして寝付けないときなどに行ってもよいでしょう。
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『暮しと健康』2007年9月号より転載