合気道の体の動きを日常に生かす
第1回 後ろ受け身から立ち上がる
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佐原 文東 (さはら・ふみはる)
清心館道場道場主
1963年に合気会本部道場入会、山口清吾師範に直接師事。柳生新陰流兵法と柳生制剛流抜刀、鹿島神流のほか、気功、太極拳等を学ぶ。6年前から禅僧のもとで禅の修業を開始。八王子市合気道連盟理事長。合気道七段。著書に『実践合気道入門』(永岡書店)がある。 |
衝撃を面で分散し
素早く次の動作に移る
柔道や剣道などでは、競技試合が行われるのが一般的ですが、合気道には競技試合がないため、普段は目にすることが少ないかもしれません。しかし、そもそも武道とは、非力な人間が戦場で生き残るために生まれた護身術のようなものなので、あえて競技化をしない合気道は武道本来の姿が継承されており、老若男女の区別なく誰でも学ぶことができるという特徴があります。また、2人一組になって、何パターンもの技を掛け合うため、生きた護身術として応用できるという利点もあります。
例えば、合気道には相手に投げられたり、倒されたりしたときに体を丸めて衝撃を面で分散し、素早く次の動作に移るための「受け身」の姿勢がありますが、これは転倒時に応用できます。二足歩行の人間は、ちょっとした衝撃でバランスを崩してしまうことがありますが、足腰が弱ってくるとその衝撃で転倒し、骨折や頭を打つなど最悪の事態になることもあります。合気道の受け身を練習して、安全な転び方を身に付けましょう。
後ろ受け身から立ち上がる
●転んでも頭を打たない
●大腰筋、腹筋、背筋を鍛える
●心肺機能・内臓の強化
受け身には二つの要素があります。
一つは、倒れたときや倒されたときの衝撃を、体の面で分散する身体技法。
これは体を柔らかくして丸まることで衝撃を和らげるというものです。
もう一つは鍛錬としての身体運動です。倒れた力を利用しながら素早く次の動作に移る動きは、簡単なようでいて実は難しく、この動きによって大腰筋をはじめとする体の内側の筋肉や、腹筋や背筋を鍛えることができるのです。また、”倒れる起きる”を繰り返し行うことで心肺機能の向上や内臓の強化にも役立ちます。
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エクササイズ
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体の力を抜き、
ひざを緩める
武道では、とっさの危機でも瞬時に反応するため、全身の筋肉を必要以上に緊張させずに立つのが基本。普段から肩の力を抜いて立つようにする。
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脚を折り畳む
片方の足を折り畳んで足の甲を床につけ、しゃがむようにひざから下を畳にしっかり密着させる。視線はおへそ辺りに向ける。
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体を丸める
倒れるときは、お尻、腰、背中の順に、体を丸めながら背中で弧を描くように畳につける。
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顔を横に向けて
転がる
足が畳を離れたら顔を横に向けて倒れる。顔を横に向けると、後頭部を打つ危険がなくなる。 |
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両手の平で
畳を打つ
背中がついたら、両手の平で畳を打ち、衝撃を吸収する。
※転んだとき、手の先を後ろに向けてつくと、手首や腕、肩に衝撃を受けてけがをするので、手の先は必ず足のほうに向ける。 |
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反動を利用して
立ち上がる
倒れた反動を利用して、今度は背中、腰の順に畳について上体を起こす。このとき、視線を下に向けると立ち上がりにくいので、視線を前方に向ける。 |
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体に力を入れずに行う。 |
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ひざを柔らかく使う。 |
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小さく丸まる感じで、低い位置で倒れる。 |
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顔を横に向けて倒れ、頭を打たないようにする。 |
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最初は2〜3回から始め、動きに慣れてきたら1日に10回を目標に行うと効果的 |
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元の姿勢に戻る
倒れたときと同様に、片脚を折り畳んで体の下に入れ、前脚に体重をのせて素早く立ち上がる。 |
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普段、運動の習慣がないと、腹筋が弱くなっていることが多く、転がって立ち上がるという動作がうまくできないことがあります。
その場合は、あぐらをかいて、両脚を両手で抱え込み、背中を丸め、ごろごろと転がる練習を続けてみましょう。しばらく転がっていると、腹筋力がつき、スムーズに体重移動ができるようになります。 |
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『暮しと健康』2007年10月号より転載