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トップページ > 美容・健康 > コラム【和のエクササイズ】 > 日本舞踊 第1回 基礎の立ち居振る舞い

日本舞踊
第1回 基礎の立ち居振る舞い

尾上青楓(おのえ・せいふう)
日本舞踊 尾上流師範

1976年尾上流三代家元 二世尾上菊之丞の長男として生まれる。2歳から同家元に師事。5歳で初舞台を踏み、その後常磐津英寿、今藤政太郎、藤舎呂船に師事。1990年に尾上青楓を襲名。95〜97年まで3年連続で新春舞踏大会大会賞、97年には同時に会長賞も受賞。現在は第一線で舞台に立つかたわら、後進の指導にも当たっている。

しなやかな動きは正しい姿勢から生まれる

日本の舞踊には、舞楽、能、狂言、民俗芸能、歌舞伎舞踊などがあります。日本舞踊は、この中の歌舞伎舞踊の流れをくんでおり、現在200以上の流派があるといわれています。

日本舞踊というと、一般の人には「美しく、ゆっくりとした動き」というイメージがあり、運動とは結びつかないかもしれません。しかし、美しい姿勢を保ったまま、しなやかに動くということは、はたからは見えない部分の筋肉を使っているということでもあります。そのため、日本舞踊の稽古では、役柄を踊る以前に、正しい姿勢を身に付けること、動ける体をつくること、役を理解することを学ぶため、礼儀作法や立ち居振る舞いを覚えてから、手ほどきという基礎練習を始めます。

礼儀作法も美しい立ち居振る舞いも、基本は正しい姿勢を崩さずに「座る」「立つ」「動く」ということです。今回は、この中の「座る」という動作を応用したエクササイズを紹介します。立ち上がるときに、いつも「どっこいしょ」と声を出す人は、これだけでもいい運動になるはずです。

礼儀作法と構えを応用したエクササイズ

日本舞踊では、「踊りの上手、下手は、構えたときにわかる」といわれるほど構えは重要です。
構えには、立ち構えと座り構えがありますが、今回は座り構えから体勢を変えた中腰構えを応用したエクササイズを紹介します。まずは礼儀作法で、正しい姿勢と正しい呼吸法を身に付けてから始めましょう。

座るお辞儀をする。

息を吐きながらお辞儀をし息を吸いながら顔を上げる
横 正面
1.正座をしてあごを引き、背すじと首すじを伸ばし、両手を脚の付け根付近に置いて肩の力を抜く。このとき、下腹部に軽く力を入れて腰を真っすぐに伸ばすようにすると腰が反り返らずに済む。足の親指は少し重ねる
横 正面
2.両手を両ひざの前にそろえ、一度相手を見てから息を吸い、ゆっくりと息を吐きながらお辞儀をする。このとき、頭だけ下げると首の裏が見えるので、背すじを真っすぐ伸ばしたままの姿勢をキープしてお辞儀をする。
横 正面
3.体が床と平行になる程度まで下げたら止め、一呼吸おく。息を吸いながら顔を上げ、手は指先だけ残す。お辞儀はあまり丁寧過ぎても嫌みになるので、頭を下げたときの間は、ゆっくり一呼吸おくくらいにするとちょうどいい。

方向転換をする

お尻を軽く浮かせ 脚、ひざ、腰を同時に動かす
1
正座の姿勢から、両かかとを立て、左ひざを立てる。右ひざは正面に向け、お尻はかかとに乗らないように軽く浮かせる。両手を脚の付け根付近に軽く乗せ、ももが開かないように注意しながら姿勢をキープする。
2
背すじを伸ばしたまま、足の指先を軸にして、左右のひざを上下に交差させながら右に90度回転する。左ひざが正面を向き、右ひざが立っている状態になる。息を吐きながら、脚、ひざ、腰を同時に動かすように意識すると回りやすい。
3
左足を一歩前に出して1の形になる。上半身がふらつかないように、足の指で床をつかむように意識するとぐっと力が入って安定する。
4
背すじを真っすぐに伸ばしたまま、さらに左右のひざを上下に交差させながら右に回転する。お尻はかかとにつけずに少し浮かせた状態をキープし、息を吐きながら回転する。
5
90度の回転を2回に分けて行うと、ちょうど180度になり、真後ろを向くことになる。余裕があれば、さらに回転し、正面を向くとよい。普段の生活では、必要な方向に回転すればいつでも下半身のエクササイズになる。

足指のストレッチにも効果的

日本の生活様式は、布団や座布団からソファやベッドなど欧米型に変わってきています。ひざを折る必要がない分、楽に感じられますが、これにより足の指を使うことが少なくなったのも事実です。しかも、靴下やストッキングの上に靴を履くのが当たり前になっているため、足の指を動かす機会はますます減っています。しかし、歩行やスポーツなどでの踏ん張りや、瞬発力には足指の力が必要ですし、日常生活での転倒予防という意味でも足の指の力を鍛えることは重要です。方向転換では、中腰で上半身を支えるため、主に太もも周辺の筋肉を鍛えることができますが、足先で体を支えることで靴下や靴で縮こまった足指のストレッチになり、床をつかむという動きによって足指を鍛えることにもつながります。
『暮しと健康』2008年1月号より転載

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