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トップページ > 美容・健康 > コラム【健康づくり】 > 50代で発症、滲出性中耳炎

50代で発症、滲出性中耳炎

神尾 友和先生

神尾友和
医学博士

(医財)耳鼻咽喉科専門・神尾記念病院理事長。日本医科大学客員教授。専門は神経耳科学。著書に『めまい 難聴 耳鳴りはここまで治る』など。なお神尾記念病院ではE-mailによる質問も受け付けている。

http://www.kamio.org
E-mail hosp@kamio.org

五感の中でもとりわけ繊細で重要な機能をつかさどる聴覚。
20歳をピークに徐々に衰え、やがてさまざまな症状をもたらすが、それは必ずしも耳だけにとどまらない。
平衡障害やめまいなど事故につながりかねない症状となって現れ、心と体の老化を進行させることも。無意識のうちに酷使しやすい器官だけに、日頃から耳に優しい環境づくりを心がけ、健康な状態を維持しよう。

50代以上の発症では滲出(しゅんしゅつ)性中耳炎がトップ

耳には2つの大きな働きがある。1つは聴こえに関する機能。もう1つは身体の平衡感覚をコントロールする機能だ。耳の機能が低下すると、これらに関連した症状が現れる。

まず聴こえに関する症状といえば、すぐに思い浮かぶのが難聴だろう。空気の振動である音は、耳に入って鼓膜を振動させ、その機械的エネルギーが内耳の蝸牛という部分で電気信号に変えられる。その後、聴神経を通して脳に伝えられ、ここで初めて音として認識されるが、この経路に障害が生じると聴こえが悪くなる。特に50代、60代になると、蝸牛に存在する有毛細胞という聴こえの細胞が衰えるため、聴力が低下しやすいのだ。

難聴は個人差が大きく、聴こえの度合いや種類など、人によりさまざまな症状がある。各種治療で改善が望めない場合は補聴器が必要となるが、自分に適したものを選択するのは非常に難しい。ひとつ間違えると逆に難聴が進行することもあるので、十分な検査とともに、自分にしっかり合った補聴器を選ぶことが大切だ。

しかし、この年代から発症しやすいのは難聴ばかりではない。 「最も多いのは滲出性中耳炎。中耳腔の中に分泌液が溜まり、内部の圧力が大気圧より低くなった状態を言い、50代以上の人や10歳以下の子どもに非常に多い病気です」と語るのは、耳鼻咽喉科専門・神尾記念病院の神尾友和院長。熟年期や老年期の発症は耳管の機能低下に関係していると言われ、耳閉感や耳鳴り、難聴、自分の声が耳に響くなどの症状を伴うのが特徴だという。
「放置すると、慢性中耳炎の1つである真珠腫性中耳炎などに移行する可能性が大きいので、早めの治療が必要です」

めまいの7割は耳が原因

耳が原因でめまいが起こることは、意外に知られていない。めまいと言うと貧血や脳疾患を想像しがちだが、実際には耳に起因するものが7割をも占める。なかでも50代以上に多いのが、良性発作性頭位眩暈症だ。

「頭や体の位置や重力を察知する前庭の耳石が、半規管にポロリと落ちてしまう病気です。頭を動かすと、ぐるぐると回転性のめまいを起こします。寝返りを打ったときなど特定の頭の位置で起こるため、その位置をとらないことが治療の第一歩。リハビリや治療用の体操も有効です」

めまい以外では、まっすぐ歩いているつもりなのに自然と方向が曲がってしまう、あるいは転んだときにうまく立ち上がれなくなるのも耳の機能低下による症状の1つ。これを日常動作の些細な支障に過ぎないと甘く見てはいけない。

「平衡感覚が衰えると、体を動かすのが億劫で外出しなくなり、人との交流もなくなる。そうなると孤独感で生きる気力を失い、老化が進んでしまいます。聴覚を含む五感は脳・心・体の橋渡しとしての役割を担う重要な機能。どの感覚が低下しても心と体に大きな影響を及ぼします」

できるだけ耳を休めてストレスを溜めない工夫を

では、耳の障害を予防するにはどうすればいいのだろうか。
耳は他の器官と異なり、寝ている間も寝返りを感知するなど休まる暇がほとんどない。また、中耳の病気は手術で治せるが、加齢で低下した機能は再生しないため、いかに耳に負担をかけずに若々しい状態を維持するかが鍵となる。 「まず騒音を避けること。イヤフォンやヘッドフォンも極力使わないほうがいいでしょう。音が耳にこもって難聴の原因になります。また、ストレスを溜めないことも重要です。一般に聴覚に対する危機感は、視覚に比べて薄いもの。日頃からもっと耳の健康状態に留意し、セルフチェックの習慣をつけることをおすすめします」
チェック方法は簡単だ。電子体温計のピッという音が聞こえるか、テレビの音量が以前より高くなっていないか、片足で30秒以上立っていられるか。さて、あなたの耳の健康度はいかがだろうか。

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