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日本企業のトップを直撃! シニアコミュニケーション社長 山崎伸治対談 シニア型社会への指針

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第7回対談 株式会社ホテルオークラ東京 代表取締役社長総支配人 小川矩良さん

ホテルオークラにしかできないサービスを「違い」のわかる皆さんに (1/2)

株式会社ホテルオークラ東京
代表取締役社長総支配人 小川 矩良さん


ホテルオークラ東京は大倉喜七郎氏によって、1962年に開業した"日本を代表する高級ホテル"として45年の歴史を積み重ねてきました。国内のみならず海外からも高い評価を受けてきたわけですが、ここへきての相次ぐ外資系ホテルチェーンの東京進出などもあって、激しい競争の中にあります。また、ホテル業界は他業界と同様に、少子高齢化に伴い「シニア層獲得」という大きな課題に直面してもいます。果たしてホテル界の「日本代表」は、どのような期待をシニアに寄せ、どのようなサービスを提供していくのか。小川矩良社長にお話を聞きました。

シニアは本物の「上質」を知っている。そういう方々にご納得いただくサービスを

山崎: 小川社長はいつお会いしてもスリムで、颯爽としていらっしゃいますね。なにか秘訣でもあるんですか?

小川: いえいえ(笑)、私ももう60になりまして、以前より自身の体の変化に気づいております。少し前までは、プールへ行って泳いだりもしたんですが、最近はあまり行かなくなってしまいました。けれども毎朝のホテル運営を確認するミーティングを行うために4階のオフィスから地下1階の会場まで移動するのですが、これが結構な距離です。私はずっとエレベーターを使わずに階段を歩いて移動するようにしていますから、いい運動にはなっているはずです。「階段で昇り降りできなくなったら引退しようかな」などと思ったりもしますが(笑)。

山崎: 同世代のシニア層について、何か感じることはありますか?

小川: 端的にいえば、ひと昔前の時代では誰もが老けるのが早かった。時代も変わり、食生活、文化や社会全体が豊かになった昨今では元気で若いシニアが増えたと実感いたします。還暦で俗に言う「赤いちゃんちゃんこを着る」年になった私も、階段を昇り降りして働いていますし(笑)。ただ、やっぱり食べる量などは減ってきましたね。私の役割はこのホテルの「クオリティの番人」ですから、毎昼、毎夜、各レストランを廻って味を確認します。以前なら、たくさん食べても平気でしたが、最近は「ちょっと、きついな」と思います。

山崎: 飲食のクオリティでも評価が高いホテルオークラですから、「番人」の役割は重要ですよね。なんといっても、利用するお客様がきっと皆さん舌の肥えた方々でしょうし。

小川: そうです。その点、歳をとって「おいしいもの」という事が以前よりはわかるようになった気はしています。量は食べられなくなりましたが、そのかわり例えば「このサツマイモがおいしい」「この牡蠣がおいしい」というように、素材の微妙な上質さの違いが若い頃よりわかるようになったと思います。

山崎: なるほど。実はシニアコミュニケーションに登録している30万人のシニアの方々も、同じようなことをよくおっしゃいます。「量は減ったけれども、1食1食の質の重みが若い人とは違う」と。ホテルに限らず、シニアはモノやサービスのクオリティの違いがわかる人たちです。提供する側は、相当の上質さが求められるようになるでしょうね。

小川: 当ホテルはもともと驚くほど質の違いを知っているお客様に数多くご愛用いただいてきました。飲食でいえば、魚や牛肉の産地による味の違いなどという、非常に微妙な違いさえ一口で言い当ててしまうような方々です。そうしたお客様がシニアになってさらにクオリティにこだわるわけですから、私たちもこれまでの評価に甘えることなく、さらなる向上を目指さなければと思っています。質へのこだわりの側面は、例えばヘルシー志向という部分にも現れています。当ホテルのレストランではカロリー表示などをいち早く行ったりしましたが、「まだまだやれることはあるはず」と考えて、いろいろと施策を練っています。

「大人が楽しむための遊び場」として、ホテルのあり方を考えたい。

山崎: ホテルオークラは、ビジネスでの利用、とりわけエグゼクティブ(経営者)層からの支持が高いことでも以前から知られていますね。そういった方々はお仕事をリタイアした後でもできればオークラを利用したいと思うはずです。今後はそういうかたが増えていくわけですが、なにか心がけていらっしゃる点はありますか?

小川: 例えば、大型アミューズメント施設に隣接しているホテルであれば、利用客の大半はファミリーです。にっこり笑って、サービスの数々をご紹介するような接客を身につければ、スタッフはやっていけます。ところが、おっしゃるとおりオークラは伝統的に、エグゼクティブのお客様も多くご入用いただいています。接し方をあえてビジネスライクにしたほうが、喜ばれたりもするわけです。あまりニコニコ笑っていると「なにを笑っているんだ」とお叱りを受けかねない(笑)。あまり長々サービスの説明をしていると「要点だけ言え」と言われるかもしれない(笑)。まあ、それは冗談としても、求められるのはキビキビと動き、謙虚に接する、つまり「素早く、正確にこなす」ことが肝心なのです。

山崎: 私もよく仕事でホテルを利用しますから、実によくわかります(笑)。スピーディで正確に必要なことを淡々とこなしてくれるホテルマンのほうが心地よいです。 けれどももちろん、地方や海外から観光で来られるお客様もオークラにはいらっしゃるわけですから、サービスのスタイル自体を、お客様によって使い分ける必要があるわけですね?

小川: 今後、お仕事を離れたシニアのお客様をお迎えしたりする時は、逆にそうしたビジネス流儀のサービスは望まれないとも思います。ご夫人を同伴されるケースもあるでしょう。そんな時に、変にきびきびと動いてしまうと、ご夫人方からは敬遠されてしまうかもしれません。サービスの質の切り替えもときに研究し、評価して戴かなければなりません。

山崎: 何か具体的に、シニア夫婦を想定したサービスをお考えですか?

小川: 例えばご夫婦でいらしてもらって、ジャズの本格的な演奏をバックにダンスしたり、ワインを楽しんだりできるような催しを思案中です。また、すでに好評をいただいているのが、ワインと上手にお付き合いする手解き、サポートを行っているのが「ホテルオークラ ワインアカデミー」です。試飲をしたり、楽しみ方を皆さんで学んだり、というお気軽感覚でありながら、スタイルをも学ぶことで、シニアの女性の参加者が多いことが特徴です。これからのホテルは「飲む、食べる、泊まる」だけではなく「楽しめる」が必要になってくる。そう思うのです。

山崎: そうですね。実はこれも当社の会員の方々の声なんですが、「せっかく時間もできて、いろいろと楽しみたいのに、遊び場が少なすぎる」という意見が多い。たしかに旅行という楽しみについては積極的なシニアですが、もっと違う楽しみを求めていますね。遠くに旅行に行くだけでなく、都内にあってすぐに行けて、なおかつとっても楽しい場所というものを。そうした意味合いでも、これからホテルという空間は注目されるでしょう。

小川: 私も同感です。日常的に遊べる場所、しかも「違い」のわかるかた、上質さを求めているかた、に喜ばれる遊び場を、私たちホテルは提供していかなければいけないと思います。

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